仮面ライダー☆華○鬼☆ | おとうさんのおもちゃばこ

仮面ライダー☆華○鬼☆

さらさらと陽の光が木々の枝葉からこぼれ落ちて命に等しく恵みを与えている。
あの鬼の言った通りだ。
申王と呼ばれる北山一体の主はで眼を細めた。花紀から預かった式針を雉二羽と狗3匹に打ち込み、操りながら探索を続けて3日。
結界に異形の者が入り込んできたと雉から知らせを受けた。
狗を走らせ注意深く接近すると…。
それは何かを饕っているようだった。
人間?いや…違う。もっと毒々しい匂いだ。
突然それは立ち上がり叫び吠えた。
山々が震え、命あるものはすべて恐怖した。
死の呼び込む絶望の叫び。
それが屠っていたぼろ雑巾の様に無残な姿の童子を放り出すのを見て、申王はぞくりとした。
あたり一面が真っ白になった。上も下も右も左も延々と続く白白白…。
ゆったりと流れるこの時間は…。
死の瞬間!
身を沈めてその場を飛び退く!ゴッと轟音が申王の頭上をかすめ、バキバキと木々がなぎ倒されて行く。
申王は頭を抱え、恐怖の形相で死を運んできた相手を見つめた。
血にまみれたそれは…。
鬼だった。
黄色い三本角を持ち、面は半分以上ひび割れ…妖気の光が青白く不気味に輝いている。そしてばっくりと開いた口からは先ほどまでむさぼっていた童子の肉片と血がこびりついた鋭い歯がどす黒い赤に染まり、むき出しになっている。
なんということだ…。
罠にはまったのはこちらのほうだったのだ!
ゆっくりと鬼がこちらに向かってくる。
次はもう…逃れられない…。
申王は恐怖のあまり全く動くことは叶わなかった。
命をはぎ取る喜びの為か、再び響きわたる絶叫!
だか…様子がなにかおかしい。
鬼はブルブルと振るわせながら、自らの右手を凝視した。
五寸釘が突き刺さり飛び出して血の華を咲かせている。
夕暮れが世界を茜色に染める。燃えるような斜陽の中、影がフッと揺らめいた
「待たせたな…申王」

鬼が花紀の方を向く。
花紀はゆっくりと鬼を指さして言った。
「百鬼…!人の業に呑まれし鬼よ!…その華をせめて人の世で散らせてやろう!」
右手を握り、般若の指輪を口元に当て、息を吹く。
乾いた…澄んだ音が死の色に染まりかけた山々に響きわたった。