仮面ライダー☆華○鬼☆ | おとうさんのおもちゃばこ

仮面ライダー☆華○鬼☆

「相変わらず汚い巻き物だなあ…桔梗のバアさん」
花紀の言葉と視線をするりとかわすように紫の紐をほどき、バッと一気に花紀の前に広げて見せた。
数名の署名と血判があるが後はただの白紙にしか見えない。
桔梗に一瞥をくれたあと花紀は右手を軽く握り、白紙にかざした。
桔梗がなにやら囁くと白紙が青白い光を放ち初め、それに答えるかのようにかざした右手薬指根元がバチバチと放電を始め、輝きだした。
あたりが一瞬閃光に覆われ、やがてゆっくりと静寂を取り戻したあとそこには黒革と般若が象られた銀細工で出来た指輪がはめられていた。
「期限は?」
「10日」
花紀の問いに桔梗は色もなく答えた。
雪乃が口を開く。
「えものはどないしはります?」
「管を使う。酒留の親父には俺が連絡しておこう」
「ぎんばんはつかわはります?」
「いや…相手が相手だ。式針を使おう」
桔梗が口を挟んだ。
「ふっ…銀盤など無粋なもんを…。東の鬼は品がおまへんなあ」
雪乃が取り出した綺麗に織られたわさび色の包みを受け取りながら花紀は言った。
「ふん…人間、衰えると新しいものを受け入れがたくなるもんだ。ディスクアニマルは良く出来てるぞ」
もう用は済んだと言わんばかりに花紀は立ち上がり、歩き出した。
しかし、襖の前で立ち止まり付け加えた。
「だがな…古いもんもそれなりの良さがあるってもんだ」
桔梗の口元が少し綻んだように見えた。
スッと襖の開く音に足音が続き、遠のいていった。
相容れぬものの軋轢は人の世が生んだ業だ。
だがしかしその解刧の果ての輝きにこそ人の世の美しさがある。
桔梗は大きく息を吐くと、雪乃に目配せをした。やがて灯が落とされ、そして誰もいなくなった。