仮面ライダー☆華○鬼☆ | おとうさんのおもちゃばこ

仮面ライダー☆華○鬼☆

新茶の香ばしいふくよかな味わいも白く透き通った美しい和菓子の甘さもザンキを癒すことは叶わなかった。
「ザンキさん。七味とよーじやのあぶらとりがみ一年分有り難うございました~」
香須実がにっこり微笑む。
「ああ」
ザンキは和菓子を見つめたままだ。
勢次郎が目くばせすると香須実は、どうぞごゆっくりと言って奥に下がって行った。
…百鬼…。
静岡の名のある鬼だ。
自らは傷つき魔化魍を倒し、いったい幾多の人々を守ったことだろう。
…呑まれ鬼…
鬼の力は挫ける心にいとも簡単に侵食し支配してしまう。
だからこそ日々精神と肉体を鍛えているのだが…。
百鬼は魔化魍「ふじきつね」との戦いで傷つき、挫け…呑まれたと花紀に聞いた。
引き際を誤れば俺も…。
ぞくりと背中がざわめいた。
もう今ごろは鬼同士の凄惨な戦いが始まっているのだろうか。
店内が橙色に染まる。
ザンキは一口お茶をすすった。
生きる喜びとほろ苦さがそこにはあった。