555+ | おとうさんのおもちゃばこ

555+

オルフェノクの堅い灰色の手が伸びる。
真理を強く抱き締め、庇う巧の鼓動は生を渇望し、激しく脈打っていた。

「…深紅の王」
真理の囁きが爆音とグシャリといういびつな音に掻き消された。

オートバジンがオルフェノクの身体を弾き飛ばしたのだ!
オートバジンは誇り高き銀馬のごとく意思を持ち単独で走っている。

アスファルトに火花を咲かせ、散らしながら、数十メートル飛ばされたにも関わらず、オルフェノクは全くの無傷であった。
オートバジンが前輪をあげ、爆音を吼えた刹那!銀馬は驚くべき機構を以て人型に変形し、巧と真理の前に降り立った。

今や銀の魔神となったオートバジンが同じ色のアタッシュを巧の目前に落とす。
ケースに弾かれた陽光が囁いた。
「あの化け物にクリムゾンスマッシュを叩き込め…」

オルフェノクは既に立ちあがり、こちらを見つめている。

いいだろう…。化け物め。
俺が灰にしてやる!

ベルトを素早く装着し、コード555を携帯に打ち込み…
変身!
ベルトに差し込まれた携帯は深紅の光を巧に送った。
その輝く様は確かに真理の呟いた「深紅の王」にふさわしいものだった…。